コネクタの圧着は、はんだ付けをしてはダメなんですって。
ロボットをしていると、コネクタの圧着とはなかなか縁が切れません。
圧着というのは大変難しい理論で成り立っているようです。
たとえば、圧着というのは、はんだ付けをしてはいけない、という話を聞いたことはあるでしょうか?
圧着接続は1925年に編み出された方法とのことで、大変長い歴史があります。
圧着を発明した人がどこまで考えていたのかはわかりませんが、素晴らしい手法で、長く使われることとなりました。
圧着接続というのは、単にコンタクトを導線に接触させる手法、のように思いますが、実はもう少し奥深い話があります。
圧着では、簡単に言うと電線とコンタクトを同時につぶす、という作業で接続を行いますが、コンタクトを潰す際、電線も同時に押しつぶされるために電線が伸びます。
その際、塑性域(永久的に変形する領域)以降は断面積が減少します。
このとき、塑性変形が起きるため、引っ張り強さは強くなるそうです。(弾性域の上限が上がるので強くなる)
また、この時の残留応力によって電線とコンタクトは強力に接続されるとのこと。
また、この過程で電線の表面の酸化膜とコンタクトの表面の酸化膜とが摩擦により剥がれたうえで接触するため、接触抵抗は非常に低くなるそうです。
ここではんだ付けをするとどうなるか?という話ですが、熱による変形と、はんだで固定されることによる応力の偏りで、断線しやすくなる、という話のようです。
でもまぁ、はんだ付けしたい気持ちはわかります(自分も昔はしていた)
また、↑の話からも分かるように、基本的に「正しい圧着」にはやり直しという概念は存在しません。
コンタクトは大目に買いましょう…。
またまた、↑の話は正しく圧着できれば、という話であって、メーカー推奨の工具で、かつメーカー推奨の力をかけてという話の上で成立すると思ってよいと思います。手でギュッっと圧着する場合、はんだ付けの方がマシな可能性は12ぶんにあると、私は思います。正直。
ところで、今新しいマウスにmolex社のPico-EZmateという端子を採用しました。
1.2mmピッチの表面実装型の超小型コネクタです。
とても小さいんですよね…でもちゃんと圧着できました。ヤッター。
圧着工具はIWISSの↓のものを使いました。
今まではENGINEERの圧着工具を使ってカシメていたのですが、小型のコンタクトに対応していなかったので新しく調達しました。使いやすさがよくわかりませんでしたが、今のところ4/4で成功して圧着できています。
(最初AWG28でカシメようとしましたが、太過ぎたようで断線しました…。これはノーカウントで。)
はんだ付けはしていません()
経験したことある方も多いかと思いますが、このクラスのものになると、下手にはんだ付けをするとコンタクトを挿入できなくなります。
ハーフピッチのコネクタではんだ付けをして挿入できなくなることがよくありました。
コネクタ回りのトラブルは結構泣かされることも多いはず。
みなさま、良い圧着ライフを。
小型コアレスモータのトルク計測とトルク係数の測定実験
マイクロマウスには、得体のしれないDCモータを使用される方が多いかと思います。
小型のコアレスモータですと、そもそも選択肢がありませんので仕方ないかと思います。
マウスをかっこよく制御したくなると、FF制御をしたくなり、トルク係数の算出をしたくなると思います。
無負荷回転数と定格電圧から割り出す方も多いかと思いますが、
実際のところ、トルク係数はどの程度あっているのかが疑問になり、測定してみました。
測定風景です。
…意味が解らないでしょうか。
モータに円盤(写真では吸引ファンの切削失敗したもの)を取り付けて、糸をひっかけ、
秤の上の重りを引っ張ります。
そうしますと、円盤の半径の距離の位置で重りを引き上げるのに相当します。(たぶん)
秤が「-10 g」と示せば、10g引き上げられてるということです。
電源装置で1.5V、3.0V、5.0Vとかけました。電流値は電源装置に表示される値です。
値は3回測定して、平均をとりました。
かなり値が変動するので精度は微妙なところです。(詳細は後述)
Queで採用した千石電商で売られているモータ「CL-0614-10250」を
計測した結果が以下です。
電流[A] | トルク[g・cm] | トルク定数[mNm/A] |
0.52 | 2.65 | 0.4999 |
0.96 | 4.76 | 0.4859 |
1.40 | 6.60 | 0.4620 |
千石電商のHPには「停動トルク:8g・cm」との記載があるのですが、遠く及ばず。
2Aくらい流せば8g・cmに到達しそうですが…。
何か計算や測定方法間違えているのかもと不安になります。なにかお気づきの点あればご指摘いただければ嬉しいです。
測定ですが、1A近く流すと、秒単位でトルクがどんどん減少します。併せて電流も減少します。
ただし、トルクの減少の方が激しい気がします。
モータ内部のコイルの発熱でコイルの抵抗値上昇により電流が減少してトルク低下、
コイルの発熱によって磁石の減磁が発生しているので電流の減少以上にトルク低下、
ということなのではないか?と思っています。
秒単位で低下ということは、マウスの最短走行時などでも十分に影響はありそうです。
Hyperionの電池は自己放電しやすい?
HyperionのLipoを2年前に買っていたのですが、使用することなくしばらく過ごしていました。
1年前に見たときに殆どの電池が膨らんでおりまして、
「使っていないのに膨らむとは何事」
と思っていました。が、何もせずさらに1年が経ちました。
(膨らんでしまってセルの左右が自然に開いた。こわい。)
ふと、気になってセル電圧を調べてみました。
…「2.54V」。
リポってストレージ電圧何ボルトだっけ?と考え直してしまうレベル(3.7Vです)
(測定した電池と電圧はブログ末尾にまとめましたので後でじっくり見て下さい)
Hyperionのリポは、ばらつきはあるものの、どれも未使用品とは思えない電圧でした。
ひどいものは数十mV、一番マシなもので2.71Vでした。
70mAhに限って言えばすべてもうカラ。
控えめに言って、怖いです。
Turnigyの電池は正常電圧でした。Hyperionよりも長く保管しているものも正常。
ちなみに測定してはないですがZippyの電池も膨らんだりしているようには見えません。
測定が面倒でサンプル数が少ないですが、見た目も膨らんでいるものなんてないので他も多分大丈夫です。
電圧の低下が先か、膨らんだのが先かはわかりませんが、Hyperionの高放電レートの電池は
自己放電が激しいのかもしれません。
保管場所は自分のお部屋で、温度はおそらく5度~35度くらいだったと思います。
特に厳しい条件だとは思いませんし、同じ場所に保管していたTurnigyの電池は正常なので
Hyperion固有の問題だと思われます。
Hyperionの電池を使う人たちは、基本的に激しい使い方をする人が多いと思いますので
そっと置いておいて寿命が来る人は少ないのかもしれませんが、注意が必要そうです。
※電池の物性や構造についての知識に乏しいので、何かアドバイスやコメント等あればいただければ嬉しいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーー 測定結果 ーーーーーーーーーーーーーーーー
Hyperion G3 100mAh(約2年室温放置)
- 2.54V
- 2.71V
- 1.88V
- 1.23V
- 2.62V
- 2.16V
- 1.87V
- 2.68V
- 0.04V
- 0.06V
Hyperion G5 70mAh(約2年室温放置)
- 0.06V
- 0.04V
- 0.05V
- 0.04V
Turnigy nano-tech 60mAh(約2年室温放置)
- 3.80V
Turnigy 138mAh(約4年室温放置)
- 3.75V
Hyperion G5 70mAh(2か月前購入)
- 3.76V
Analog Discovery2を活用する
Analog Discovery2を購入しました。
平たく言うといろんな機能が付いたコスパのいい便利なハコという感じです。
とはいえ、ほとんどの人はオシロとロジアナくらいしか使わないような気もします。
オシロなのは良いのですが、デフォルトはピンヘッダからリード線が出ているという状態です。
プローブじゃない状態でどのくらいまともに測定できるんだろう?という疑問があって
軽く測定してみました。
Analog Discovery2の機能で200kHzのクロックを生成して、それを直接オシロ機能で見てみました。
上がオシロのch1とch2を並列に伸ばしていた時、下が可能な限り離してみたときです。
※ch1とch2のレンジが違うことに注意
激しくクロストークしています。
アナログ的なことを測定するには注意が必要かな、と思いました。
BNCアダプタボードがあるので、買ってみてもいいかもしれません。
なんにせよ、PCに繋いでアレコレできるのはBlogも書きやすいしスペースもとらないし、いいですね。
マウサーとして生き残ろう?
2018年はマウス開発はほぼゼロだったわけですが、一応大会には出場したわけで、マウサーとしてギリギリ生き残れたと思っております。
マイクロマウス競技(セミファイナル)は探索のみで9位、
クラッシックマウス競技は普通には知れて9位。
で、モチベの泉が枯れかけていたわけですが
大会後、息子に
「パパ、マウスだめだったね。 またいっしょにがんばろうね。」
と言われて、
グサッと来て、2019年は頑張ろうと思い始めています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、「やるぞ」と思っても気が付いたらモチベの泉が枯れていて
やるぞと思ったことすら忘れているというのがよくある話。
(で、マウスシーズンに絶望する)
今年はモチベの泉を枯らさないために、目標を掲げようと思います。
①ブログを20回以上更新する
技術的に価値のあるもの、少なくとも自分が後で見返したくなるような情報を書く。
②シミュレータを再製作する
探索ルーチンやターンなどのシミュレーションを行うソフトを再製作。
③全日本大会で探索を成功させる(ハーフ・クラッシックともに)
次のマウスは移植要素を無くして作り上げる予定で、1年目から無理に勝ちにいかずに
丁寧に作りたいなと思います。3年計画くらいで勝ちに行こう。
今年は甘んじてBusterされよう…
ということで、まずはブログ更新頑張ります。
今回は意思表示ということでノーカウント。
2017年マイクロマウス全日本大会
全日本大会お疲れさまでした。
運営してくださった皆様、相手をしてくれた皆様、本当にありがとうございました。
とっても楽しい2日間でした。
そして明日は有給とってるのでのんびりします^^
さて、ブログは大変久しぶりな訳で、こういう時はとりあえず
「日記では無くて月記ですね(笑)」
とか言っておくのが通例かと思いますが、もはや年記のが近いです。すみません。
今年はクラッシック競技で5位でした。
予選も決勝も無難パラメータでしか走れず、なんとなく消化不良です。
走ったのはどちらも以下のパラメータ。
acc | 15000mm/s/s |
---|---|
max_speed | 3900mm/s |
max_diag_speed | 2900mm/s |
90deg | 1700mm/s |
v90deg | 1300mm/s |
45deg | 1300mm/s |
135deg | 1250mm/s |
180deg | 1250mm/s |
だがしかし、あまり悔しさが無いんですよね。
悔しさがないというのは余りまじめにやってなかった証拠だと思うので
猛省したいと思う次第であります。
ハーフは決勝いけませんでしたし…。
なんだかんだクラッシックでは戦えてしまっているQueさんですが、
そろそろ新作作りたいと思うので、モチベーションが枯れないうちに
もの作ってしまいたいと思ってはいます。
がんばりたい。
クラッシックはもちろんですが、ハーフでも1位争いができるような領域に行きたいですね。
あと、おまけ。
マウス本(苦しんで作るマイクロマウス)前編を出しました。
をKindleで出版しました。
マイクロマウス初心者向け、DCマウスの本です。
勝てるマウスを推奨したかったのと、ステッパよりDCのほうが
理解しやすいと思いステッパではなくDCを選びました。
機械CADはFusion360、電気CADはEagle、
機械周りは3Dプリント(DMM.make)、プリント基板を推奨しています。
この辺りはご意見色々あるかと思いますが、自分なりに悩みに悩んだ結果です。一応。
文章はひたすら冗長に説明することを心がけています。
A4でいうと300ページ級で重量級ですが、中身はというとそんなにないかも知れません。
今回は前編です。
本書を読むと、マウスのハードをほぼ使えるようになります。(割り込み、PWM、位相係数など)
PID制御や探索アルゴリズムは後編にまわします。
おそらく、ロボットをやりたいけどできない理由として、
ハードウェアが作れないというのは結構大きいと思います。
プログラムはできるけど…という人もそれなりにいるのでは。
本書でマイクロマウスの参加者が増えたらいいな、と思います。
お世話になったマイクロマウス界への恩返しの一つとして…。
是非、周囲にマウスに興味ありそうな方がいたら勧めてみてください。
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少し思い出話を。
本書を書くきっかけは、2015年、冬コミで所謂「スカッド本」が出たのがきっかけです。
自分は冬コミにはいきませんでしたが、Twitterでやけに話題になってたのを覚えています。
わたしはロケットには大して興味がないので、「ふーん」と思っていたのですが、
著者のGRIDさんが
「完成したスカッドのロケットエンジン本を読んで作った本人が感動している…何を言ってるのか分からないと思うが、私が長年欲しかった本はこれだったのだ。」
と仰っていました。
わたしも欲しかった本があるな、と思ってしまったのがきっかけです。
紙で出版するという夢は叶いませんでしたが、
とりあえず半分形にできて嬉しいです。
紙は、まぁ、またいつか別の機会に。
執筆は辛く長い戦いだと思ってはいましたが予想以上に辛いです。
まだ前編ですし。
後編も頑張りますので応援していただけたら嬉しいです。
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